PR

犬がトイレ以外でするのはわざとじゃない!獣医師が教える原因特定3ステップ

スポンサーリンク

大事なオンライン会議が始まる直前に、愛犬の粗相を発見…。後片付けで焦り、つい「わざとやっているでしょ!」と強い口調で叱ってしまった。そんなご経験はありませんか?愛情があるのにイライラしてしまうご自身を責め、心を痛めていらっしゃるかもしれませんね。そのお気持ち、痛いほどわかります。

ですが、どうか安心してください。その行動は、あなたを困らせるための「わざと」の行動ではありません。愛犬からの必死の「SOSサイン」なのです。

この記事では、これまで3,000件以上の問題行動カウンセリングを行ってきた獣医師として、多くの飼い主さんを救ってきた「原因特定3ステップ」をご紹介します。

読み終える頃には、あなたのイライラが「なるほど!」という理解に変わり、愛犬のために何をすべきかが明確になっているはずです。

[監修者情報]

佐藤 健太
獣医師 / 動物行動カウンセラー

専門領域は、犬の問題行動における内科的疾患と行動学の連携アプローチ。3,000件以上の問題行動カウンセリング実績を持ち、特に「トイレの失敗」に関する相談では、95%以上のケースで原因特定と改善に成功。「飼い主さんがご自身を責める必要は全くありません。私は、あなたと愛犬の間の『通訳』として、そのサインを読み解くお手伝いをします」をモットーに、日々診療にあたっている。

スポンサーリンク

はじめに:飼い主さん!ご自身を責めないでください

私のカウンセリングルームでは、「うちの子、私のこと嫌いになったんでしょうか?」と涙ながらに相談される方は、本当に多いんですよ。昨日まで完璧にできていたトイレが、ある日を境に急にできなくなる。その理由がわからないことへの不安と、愛犬との絆が壊れてしまうのではないかという恐怖。そう感じてしまうのは、あなたが愛犬を深く愛している証拠です。

ですから、どうか一人で抱え込まないでください。多くの飼い主さんが、あなたと同じ道を通ります。そして、正しい知識を持てば、必ず解決できる問題です。まずはその焦りを脇に置いて、一緒に冷静に原因を探っていきましょう。

結論:愛犬の粗相は「わざと」ではなく「SOSサイン」です

まず、最も重要なことからお伝えします。犬は「嫌がらせをしてやろう」「復讐して困らせてやろう」といった、人間のような複雑な思考で排泄をコントロールすることはできません。犬の脳の構造から見ても、それは科学的に考えにくいのです。

多くの場合、トイレの失敗という行動は、「膀胱炎」のような体の不調や、「ストレス」のような心の不調が原因となって引き起こされる「結果」に過ぎません。つまり、粗相は愛犬が言葉の代わりに発している、体や心の不調を知らせるサインなのです。この視点を持つことが、問題解決の第一歩となります。

イライラを「理解」に変える、原因特定3ステップ診断フロー

「サインなのはわかったけど、何から手をつければいいの?」という声が聞こえてきそうです。ご安心ください。ここからは、誰でも冷静に原因を切り分けられる、私が診療で実際に使っている診断フローをご紹介します。この順番で進めることが、遠回りに見えて一番の近道です。

【STEP1】最優先:まずは病気を疑い、獣医師に相談を

どんなしつけを試すよりも先に、必ず医学的な可能性を排除してください。なぜなら、もし病気が隠れていたら、いくらトレーニングをしても意味がないばかりか、愛犬をさらに苦しめてしまうことになるからです。

特に以下のような症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • おしっこの回数が異常に多い(頻尿)
  • おしっこに血が混じっている(血尿)
  • 排泄時に痛そうに鳴いたり、力んだりする
  • 水を飲む量が急に増えた
  • 元気や食欲がない

これらの症状は、膀胱炎や尿路結石、腎臓病、糖尿病、クッシング症候群、そしてシニア犬の場合は認知機能不全など、様々な病気のサインである可能性があります。獣医師に相談する際は、「いつから、どこで、どんな頻度で粗相をするか」を伝えられるようにメモしておくと、診断がスムーズに進みます。

【STEP2】環境とストレスの総点検チェックリスト

STEP1で病気の可能性が低いと判断されたら、次に見直すべきは愛犬を取り巻く「環境」です。犬は私たちが思う以上に繊細で、些細な変化が大きなストレスとなり、粗相につながることがあります。

以下のチェックリストを使って、愛犬の生活環境に変化がなかったか、一つずつ確認してみてください。

  • □ トイレは清潔ですか? (シートはこまめに取り替えていますか?)
  • □ トイレの場所は安心できるところですか? (人の出入りが激しい、大きな音がするなど)
  • □ トイレの大きさが体に合っていますか? (成長して狭くなっていませんか?)
  • □ 最近、トイレシートの種類を変えませんでしたか? (肌触りや吸収性が変わった)
  • □ 留守番の時間が以前より長くなっていませんか?(分離不安)
  • □ 家族構成に変化はありましたか? (赤ちゃんが生まれた、同居人が増えた/減った)
  • □ 引っ越しや部屋の模様替えをしましたか?
  • □ 最近、愛犬と遊んだり、スキンシップをとる時間が減っていませんか?
  • □ 近くで工事が始まるなど、騒音はありませんか?
  • □ 他のペットが新しく家族に加わりましたか?

一つでも当てはまる項目があれば、それが愛犬のストレスの原因かもしれません。

【STEP3】それでも続くなら「要求」か「マーキング」かも

病気でもなく、環境にも特に問題が見当たらない。それでも粗相が続く場合、考えられるのは「要求行動」や「マーキング」の可能性です。

  • 要求行動: 飼い主の気を引きたい、もっと構ってほしいという気持ちから、わざと目の前で粗相をすることがあります。これは「粗相をすれば、たとえ叱られても注目してもらえる」と学習してしまった結果です。
  • マーキング: 特に去勢・避妊手術をしていないオス・メスに見られます。自分の縄張りを主張するために、少量の尿を様々な場所にかける行動です。家具や壁など、垂直な面にすることが多いのが特徴です。

これらの見分け方や対処法は異なりますが、いずれも根本には何らかの心理的な要因が関わっています。

原因判明後の正しい対処法と、絶対やってはいけないNG対応

原因の見当がついたら、いよいよ具体的な対処です。しかし、ここで間違った対応をしてしまうと、問題はさらにこじれてしまいます。科学的根拠に基づいた「正しい対処法」と、飼い主さんが陥りがちな「NG対応」を明確に区別しましょう。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 粗相の現場を見つけても、感情的に騒がず、「無言で、淡々と」片付けてください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、「あー!」と大きな声を出したり、慌てて駆け寄ったりするだけで、犬は「注目してもらえた!」と勘違いし、要求行動を強化してしまうからです。あなたの冷静な態度こそが、問題解決の鍵を握っています。

<トイレ失敗時の対応比較>

対応 NG対応 ❌ OK対応 ✅
声かけ 「ダメでしょ!」「こら!」と大声で叱る 何も言わない。完全に無視する。
行動 鼻を粗相にこすりつける、叩く 無言で、速やかに片付ける。
結果 犬は「排泄=悪いこと」と誤解し、隠れてするようになる。飼い主への不信感が募る。 犬は「粗相をしても注目されない」と学習し、行動が減っていく。信頼関係が保たれる。
成功時 (特になし) トイレで成功した瞬間に、大げさなくらい褒める。特別なおやつをあげる。

ご覧のように、「叱る」という罰を与えるアプローチと、成功体験を褒めて伸ばす「ポジティブリンフォースメント」は対立概念であり、その効果には天と地ほどの差があります。

そして、もう一つ極めて重要なのが「掃除」です。
粗相した場所の匂い残りは、犬に「ここもトイレだ」と再認識させてしまう最大の問題です。この問題を解決するためには、市販の消臭スプレーではなく、ペット用の「酵素系クリーナー」が不可欠です。酵素の力で尿の成分を根本から分解してくれるため、犬の鋭い嗅覚でも匂いを感知できなくする解決策となります。

もう一度、愛犬との信頼関係を築くために

愛犬の粗相問題は、飼い主にとって本当にストレスの溜まる、根気のいる課題です。しかし、その行動の裏にある「SOSサイン」を読み解こうとすることは、これまで以上に深く愛犬を理解し、対話する絶好の機会でもあります。

原因を探るプロセスは、愛犬とのコミュニケーションそのものです。あなたはもう一人ではありません。この記事でご紹介したステップが、あなたと愛犬の絆をより強く、確かなものにするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

【次のステップ】
まずは、STEP1の病気の可能性をクリアにすることが最優先です。この記事のチェックリストを参考に、少しでも気になる点があれば、かかりつけの獣医師さんにご相談ください。

[参考文献リスト]
この記事は、以下の情報源を含む、動物行動学および獣医学の一般的な知見に基づき作成されています。

  • 日本獣医師会 公式サイト
  • 獣医行動診療科認定医による学術論文
  • その他、主要なペット関連メディアの獣医師監修記事
タイトルとURLをコピーしました